“ 釈迦は、宇宙は空間的に有限か、無限か、有限でも無限でもあるか、有限でも無限でもないか、宇宙は時間的に有限か、無限か、有限でも無限でもあるか、有限でも無限でもないか、自己は肉体と同一か、別か、同一でも別でもあるか、同一でもなく別でもないか、自己は肉体の死後も輪廻するか、しないか、輪廻し、かつしないか、輪廻せず、かつしなくないか、の、合計十六の質問に対して、沈黙して答えなかった。これが「無記」である。いちいち一つの問題にも四通りずつの質問方法があるのだ。当時のインドの哲人たちは、このような込み入った宇宙論的議論にひたすら明け暮れていたのである。”
—蛭川立「意識のコスモロジー/ガンジスの砂の数ほど」 風の旅人2011年6月号